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朝日新聞の朝刊紙面より「市民社会論の視点から」

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中国で、利益だけでなく社会貢献もめざす「社会的企業」が注目を集めている。主に担うのは若手だ。最新テクノロジーを武器に、急速な経済発展で生じた環境汚染や貧困などの問題解決に取り組んでいる。

 中国のシリコンバレーと呼ばれる広東省・深圳で6月、「社会的企業・投資フォーラム」が開かれた。今回で4回目で、千人近い起業家や投資家が集まった。

 ブースを構えていた魏文鋒(ウェイウェンフォン)さん(42)は、室内のホルムアルデヒド濃度を一般の人も簡単に測定できる機器を貸し出す「老●(●は「父」の下に「巴」。中国語のパパ〈父親〉)評測」(ダディラボ)を立ち上げ、経営している。

 ホルムアルデヒドなどの化学物質による住宅建材の汚染が問題になっていたことが起業のきっかけだ。

 機器のレンタルは原則有料だが、人数が一定程度集まれば無料になる。どこで測定しているかリアルタイムでわかるアプリも開発し、ユーザーが測定値も公開している。これまでに測定したのは4万7千部屋以上で、うちホルムアルデヒドが基準を超えていたのは2万2千以上あったという。

 独自の安全基準をクリアした日用品、家具、食料などのネットショップも経営する。魏さんは、政府のエンジニアやヨーロッパへの輸出産品の検査コンサルタントを経て2015年に独立した。「前職ではお金はもうかったが、それだけでは面白くなくて。子供たちの健康を守りたくて起業しました」と話す。

 魏さんのように若くして成功し、後半生は社会貢献をしたい、という人は多い。有名どころでは、来年ビジネスから引退すると表明しているネット通販大手アリババ集団の創業者、馬雲(マーユン、ジャック・マー)氏もそうだ。

 若いうちから公益的な活動に足を踏み入れる人も目立つ。

 フォーラムで投資を求めてプレゼンをしていたのは、AI技術者で起業家の黄剣峰(ホアンジェンフォン)さん(39)。「お年寄りのお相手ロボット」を開発中だ。

 「今、中国では9割以上の老人が自分の家で最期を迎えます。介護ロボットの市場が大きいのです」

 「いくら欲しいの?」

 投資家から質問が飛ぶ。

 「1千万元(約1億6千万円)です」

 「いくら集まった?」

 「10%くらいです」

 「わかった。残りは出すから後で来てください」

 黄さんは、アリババなどでの技術者を経て15年に起業した。小さい頃、働く両親に代わって祖母に育てられた。「大学生の時に祖母が亡くなったんですが、生前に何もしてあげられなかったのが今でも悔やまれて……」と開発の動機を語る。資金も無事集まり、今年中には製品を完成させたいという。

 女性の起業家もいる。易昕(イーシン)さん(33)が営業支援会社「霊析(リンシー)」を12年につくったのは、08年の四川大地震がきっかけだ。地震後に参加したボランティア組織の人事や資金管理がアナログなのに驚き、起業を思い立つ。管理支援のITツールを開発し、コンサルタントもしている。顧客は非営利組織に絞り、今や5万を超える。30人の社員の多くは「チウリンホウ(90後)」と言われる1990年以降の生まれだ。

 易さんのように、震災を契機にボランティアに参加した人は多い。日本で1995年の阪神大震災が「ボランティア元年」と呼ばれたのとよく似ている。(編集委員・秋山訓子)

中国のNPO社会的企業

 社会的企業NPOは、組織の形態や法人格は違うが、どちらも社会課題の解決をめざして公益的な活動をする存在だ。

 中国でも1980年代から、日本のNPOや社団・財団法人にあたる非営利組織の制度が複数作られており、合わせて「社会組織」と呼ばれている。2017年現在、社会組織の総数は80万を超える。

 ただ、社会組織の設立要件は厳しく、政府と関係の強い「官製NPO」とでもいうべき団体も多い。そこで、社会組織ではなくて企業(=社会的企業)など他の組織の形で社会課題に取り組む団体も多い。

 アリババ創業者をはじめ、急成長して成功した起業家には、「基金会」と呼ばれる日本の財団法人にあたる非営利組織を作って利益を寄付し、社会的企業の育成を図る人も多い。

 中国政府は、海外とつながるNPO・NGOへの警戒感も強く、14年には「海外NGO管理法」ができた。一方で同年に公益的な活動に関する初の総合的な法律である「慈善法」もでき、硬軟両様の姿勢だ。

「80後世代」自分らしさ求める 駒沢大の李姸焱教授の話(市民社会論)

 中国の社会的企業の活動を担っているのは、「80後世代」などの若手だ。これは、社会が激しく変動する時代の中、さまざまな課題に若者が敏感に反応して行動を起こすという点で、日本の高度経済成長期と比較できる。

 加えて中国の若者世代は、物質的な豊かさが急速に拡大し、ネットでの自己表現が簡単にできる時代に育っている。激しい競争の中で、自分に付加価値をつける意味でも、競争と関係なく自分らしく生きるという意味でも、公益的な活動に魅力を感じやすい。

 中国では、公益的な領域全体の設計や仕組みづくりが重視されることも特徴だ。例えば、テンセント基金会が主導するネット寄付キャンペーン「99公益日」の目的は「寄付集め」というより、一般の人が日頃から公益活動に関わるためのアプリの開発・普及や、公益的な活動に関わる企業の巻き込みにある。公益活動が社会にどれだけ影響を与えたか測る「ソーシャルインパクト」が関心を集めるのも、こうした「仕組み」志向の表れと言える。

朝日新聞より引用