朝日新聞を購読申込ページ 「野球練習も不調の時も一緒…同い年の愛犬に誓った甲子園」紙面抜粋
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ずっと見守ってくれた存在がいる。愛犬「ピッチ」だ。同じ年に生まれ、白毛に茶毛が交ざった雑種の中型犬。先を歩くと嫌がって追い抜いてくる負けず嫌い。でも、野球で不調な時は、察して寄ってきてくれる。可愛くて、可愛くて。最高の癒やしだ。
小学生の時、自宅近くの河川敷で一緒に練習した。打ったボールをピッチが必死に追いかけて取ってきてくれた。タイヤを引きながらピッチの散歩もした。そして、誓った。「甲子園に行くからな」
中学3年のある日。ピッチがご飯を食べなくなって、寝たきりになった。「甲子園に行くまで死なないで」と泣いた。ピッチのために頑張ろう、と野球に熱が入った。打撃も守備も良くなった。「犬って力があるんだな」と思った。いつもと違う少し高価なエサを食べさせると、元気が戻った。
今年、ともに17歳になる。オレは高2だけど、ピッチは人間で言うと90歳くらい。走り回って遊ぶことはなくなったけど、癒やしの存在に変わりはない。
誓った通り、春夏とも甲子園に来た。選抜は4番で1安打2打点。なのに、夏は西千葉大会で打率0割台に終わり、この日の出番はなかった。家に帰ったらピッチは寄り添ってきてくれるだろう。そしたら、こう伝えよう。「いざという時に打てる真の4番になって、甲子園で優勝するからな」
それまで、元気でいろよ。(5日、高校野球 済美5―4中央学院)
朝日新聞より引用