朝日新聞 購読キャンペーン

朝日新聞購読キャンペーン

朝日新聞の購読申込ページ  「品薄の「厚底」ナイキ 常識覆す陸上シューズ、他社は…」

朝日新聞を公式サイトから購読申込する場合の注意事項

 

朝刊のみご希望のお客様は「配達への要望」欄に朝刊のみとご記入ください

 

申込ページでは朝夕刊セットの値段しか記載がございませんが

朝刊のみでも申込可能です。

 

ただし朝夕刊セット地域では朝刊のみ月極め料金が販売店によって異なるので

販売店があいさつに来た時などご確認ください。

カタログギフトプレゼントキャンペーンで申込たい方 下記↓↓クリック

 

 

朝日新聞の朝刊紙面より「伝説の靴職人は はっきりいって反対! 

f:id:vyh04236:20180321130612j:plain

 

ラソンなど長距離のレースを走るには、軽くて薄い底のシューズがいい。こんな常識を覆す厚底シューズが現れた。開発したのはナイキ。航空宇宙産業で使う特殊素材を盛り込んだ靴の秘密とは何か。競合他社は、「伝説の職人」と新規契約を結ぶなど、開発レースの先頭集団から取り残されないよう、それぞれの方針で力を入れる。

かかと3センチ増、「疲労感が全然違う」

 レースを終えた設楽悠太ホンダ)は、足元を支えた「相棒」へ感謝の言葉を口にした。「いいシューズを選んで効率よく練習ができた」。2月25日の東京マラソンを2時間6分11秒で快走。16年ぶりに日本記録を更新した。

 相棒は、ナイキの「ヴェイパーフライ4%」。軽くて薄底が主流だったランニングシューズの常識を覆す厚底が特徴で、かかと部分は従来より厚い3センチ余り。「疲労感が全然違う」と設楽は話した。ナイキジャパンによると、「従来の看板シューズよりエネルギー効率が4%改善されている」という。

 男子で世界歴代3位の2時間3分5秒を持つエリウド・キプチョゲ(ケニア)が開発に大きく貢献した。2016年リオデジャネイロ五輪の前、契約選手のキプチョゲから「クッション性や、前に進むスパイクのような働きがほしい」との要望があった。

 クッション性は、航空宇宙産業で使う特殊素材に目を付けた。軽く、かつ柔らかくて丈夫な靴底を作った。その間に反発力のあるカーボンファイバー(炭素繊維)で作った板を挟み込む。ふわふわの座布団とバネを組み合わせるイメージだ。クッション性と脚を前に押し出す働きを両立させた。そのうえで、総重量を従来の主力モデルより10グラムほど軽い約180グラムまで削った。

 結果は良好だ。試作品の段階だったリオの男女マラソンで、キプチョゲの金など、全メダル6個のうち5個を獲得。大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)は、昨年12月の福岡国際を2時間7分19秒で走った。当時の日本歴代5位の好記録だった。

販売店も驚き「地殻変動が起きている」

 走りに合わせて靴を選ぶのではなく、靴に合わせた走りに取り組むという逆転現象も起きている。今年の箱根駅伝で履き、往路優勝した東洋大がその例だ。1区で区間賞を取った西山和弥(1年)は言う。「すごく跳ねるので、上半身が弱いと(力が)上に逃げてしまう」。履きこなすため、1年間フィジカルを重点的に鍛えた。

 ログイン前の続きネット上で駅伝情報を発信している「EKIDEN NEWS」によると、昨年の箱根駅伝でシェア4位の36人だったナイキは今年は58人に増え、トップに躍り出た。市民ランナーもこの動きに敏感に反応している。ランニングシューズを専門に扱う「B&D渋谷店」によると、ナイキの厚底シューズは品薄状態が続く。「市民ランナーは、普通、慣れ親しんだメーカーから乗り換えることに慎重だが、地殻変動が起きている」と道林正樹店長(37)は話す。

 競合各社も戦略を練る。

 「私たちはランニング分野で、ナンバーワンのブランドになる」。今年1月、ニューバランスジャパンの冨田智夫社長は記者会見でこう宣言した。現代の名工にも選ばれた靴職人の三村仁司さん(69)と専属契約を結んだ。これまで手薄だったトップレベルのランナーへのシューズ提供を強化する方針を打ち出した。

 三村さんは、テレビドラマ「陸王」で描かれたシューズ職人のモデルといわれる伝説の存在だ。選手の足やコースに合わせ、ミリ単位でソールの厚さを調整する。大リーグイチローやマラソン女子の高橋尚子野口みずきらスター選手のシューズを手がけ、最近まではアディダスと契約していた。今も選手からの信頼は厚く、「選手たちにブランドは関係ない。三村さんが作った靴を履く」という業界関係者もいる。

 三村さんは厚底シューズについて、「僕は、はっきりいって反対。やはり足の力が路面に伝わりにくい。悪いとはいわないけど、足首が痛くなる要素もある」と指摘した。

 アディダスは「厚底・薄底など流行を意識した開発は行っていない」。07年のベルリン・マラソン世界記録を出したハイレ・ゲブレシラシエエチオピア)から5度の男子マラソン世界記録更新は、全て同社製のシューズを履いた選手たちによるものだった。「ランニングの目的が多様化するなか、スピードやトレーニングの一環として走る方々など、各アスリートに向けてベストを提供できるよう開発を続けたい」

20年東京五輪へ、各社の競争は続く

 昨年1月の箱根駅伝でシェア1、2位を占めた国内メーカーのアシックスとミズノは、今年は割りを食う形になった。

 アシックスは「エリートランナーだけではなく、幅広い層のシューズで勝負できるのがうちの強み。全てのランナーに質の高い靴を提供するコンセプトはぶれない」。

 ミズノは「市場に厚底ブームが起きていると考えるが、指導者の中にも様々な意見があり、慎重に考えている。しっかりとした理論、データを元に自信を持ってシューズの開発を進めたい」と話す。

 国内のトップランナーのマラソンシーズンは、3月11日の名古屋ウィメンズで幕を閉じた。来季以降の箱根駅伝、そして20年東京五輪に向け、メーカー各社の開発競争はさらに過熱しそうだ。

 朝日新聞より引用