朝日新聞 購読キャンペーン

朝日新聞購読キャンペーン

朝日新聞の購読申込ページ 「闘病中もオシャレだった妻、最後の夜に「もぅいいよね」」

朝日新聞を公式サイトから購読申込する場合の注意事項

 

朝刊のみご希望のお客様は「配達への要望」欄に朝刊のみとご記入ください

 

申込ページでは朝夕刊セットの値段しか記載がございませんが

朝刊のみでも申込可能です。

 

ただし朝夕刊セット地域では朝刊のみ月極め料金が販売店によって異なるので

売店があいさつに来た時などご確認ください。

カタログギフトプレゼントキャンペーンで申込たい方 下記↓↓クリック

 

朝日新聞の朝刊紙面より「WWF、メコン川流域で

 

f:id:vyh04236:20181214081658j:plain

菊地貴公(たかひろ)さん(53)は去年10月、妻の奈穂美(なおみ)さんをがんで亡くした。47歳。洋服とおいしいものが大好きな、ちょっと変わったがんサバイバーだった。闘いの日々は1年後、オシャレな本「フガフガ闘病記」(タイフーン・ブックス・ジャパン)になった。

 菊地さんは仙台在住の売れっ子テレビ・CMディレクター。20年余り前、若いクリエーターたちと自由奔放なフリーペーパーを出し、巷(ちまた)で評判になったこともある。デパート店員だった奈穂美さんと出会ったのは、その少し前。センスがあって、美人で、みんなの憧れの的だった。

 2013年夏、奈穂美さんのS状結腸がんと腹膜播種(はしゅ)が判明。抗がん剤治療を続け、名医を求めて関西にも通った。

 ログイン前の続き最後の夜、病室で「もぅいいよね」と小さく言い、目を閉じた。

 四十九日が過ぎた去年11月、菊地さんは、4年間を振り返るブログを始めた。ずっと一緒にがんばってきたのに、もう、がんばる相手も、目的もない。つらさから逃げだし、からっぽの自分を埋めたかった。

     ◇

 抗がん剤治療の初日、奈穂美さんは駅前のパルコに直行。気になっていた洋服が目当てだった。病院に行くときも水玉コーデに熱中し、厚底靴をはき、着たい服を着る。

 「こんながん患者がいたら、見て元気になる人がいるかも!」。奈穂美さんはそんな人だった。

 いつもパソコンで洋服をチェックした。お気に入りは、MAISON KITSUNEのキツネ柄アイテム。「春物出てる?」「こんなに買っていいかな? もう着ないかもしれないのに!」。ネットショッピングに夢中になった時の口癖が「フガフガ」だ。

 クローゼットには、袖を一度も通さない服が増えていった。

 闘病中のオシャレを、菊地さんは写真に撮った。旅先や治療先でおいしいものを食べるところは、ビデオにもした。どれも幸せそうな表情だ。

 がんは進行した。

 手術の際、転移が予想より小さかったことがある。「奇跡だ」と菊地さんは思った。でも今は後悔する。なぜ「ナオミちゃんががんばったからだよ」と、言えなかったのか。

 抗がん剤の痛みに耐え、緊急入院で何本も管を差し込まれ、腹水でおなかをパンパンにして。それでも奈穂美さんは「大丈夫、大丈夫だから」と言い続けた。笑わないと免疫力が落ちるからと、鏡に向かって無理やり口角を上げた。

 もっともっと、ほめてあげたかった。精いっぱい寄り添ったつもりなのに、次から次へと悔しい思いが湧いてきた。

     ◇

 編集は昔のクリエーター仲間が手伝ってくれた。今年10月、奈穂美さんらしい、ファッションブックのような本ができあがった。

 がん患者や同じ立場の家族からは「読んで元気になりました」などと反響が来た。誰もが奈穂美さんをほめてくれる。菊地さんはそのたび心でガッツポーズをした。久々に仲間とも集まった。

 でも、胸のからっぽは埋まらない。

 これで奈穂美さんとの最後の共同作業が終わった。悲しみとどう折り合いをつけるか、菊地さんは探し続けている。

朝日新聞より引用