朝日新聞 購読キャンペーン

朝日新聞購読キャンペーン

朝日新聞の購読申込ページ  「ムーミンに学ぶ 自由な生き方  翻訳家の森下圭子さん 」

朝日新聞を公式サイトから購読申込する場合の注意事項

 

朝刊のみご希望のお客様は「配達への要望」欄に朝刊のみとご記入ください

 

申込ページでは朝夕刊セットの値段しか記載がございませんが

朝刊のみでも申込可能です。

 

ただし朝夕刊セット地域では朝刊のみ月極め料金が販売店によって異なるので

販売店があいさつに来た時などご確認ください。

カタログギフトプレゼントキャンペーンで申込たい方 下記↓↓クリック

 

 

 

 朝日新聞の朝刊紙面より「森には、決まった「ゴール」がないんです

f:id:vyh04236:20180324192111j:plain

世界中で幅広い世代に愛され続けているムーミンシリーズ。ムーミンと生みの親、トーベ・ヤンソン(1914~2001)に魅了され、25歳でフィンランドに渡った三重県四日市市出身の翻訳家、森下圭子さん(48)は「ヤンソンは、未熟な自分でも素直に生きることの大切さを教えてくれる」と言います。生涯創作活動に打ち込んだヤンソンの人生は、日本社会で生きる女性へのヒントが詰まっているようです。

 

 

フィンランドは、森と湖の国です。特に森はフィンランド人の生活の一部で、季節を問わずよく森に出かけます。特に目的やゴールが決まっているわけではなく、虫を捕まえる人もいれば、鳥を観察したり、草花の香りを楽しんだりする人も。森を歩くと、人って好きなものが全然違うんだなとあらためて気づかされます。私は木が好きですね。まっすぐに伸びているわけではないけれど、それぞれ個性的で美しいんです。

 そんな多様性を尊重する世界観にあふれているのが、ムーミン谷のお話です。登場するキャラはいろいろな見た目をしていて、何の生き物なのかもよく分からない。でも自由に、お互いを尊重し合いながら助け合って生きていく。みんな完璧ではなくてどこか欠けているけれど、未熟な自分をありのまま受け入れ、人生を全うしようとしています。

 日本では「模範的な良い大人になれ」というプレッシャーがありますが、あいまいな「良い大人」よりも、自分らしく生きている人の方が魅力的だとフィンランドに来て実感しました。たとえば、ある地元食堂の主人は、お客さん一人一人の好みや分量を把握していて、工事現場で働いている作業員には、ジャガイモを多めに盛ったり。責任はともなうけど、紋切り型の対応ではなく、それぞれの良識で判断しているんです。

 ムーミンの原作を初めて読んだのは小学生のときでしたが、大学卒業前に偶然読み直して衝撃を受けました。こんなにも自由で多様性に満ちた世界があったんだと。内定が出ていた就職先を断り、ムーミンヤンソンの研究をするため、単身ヘルシンキ大学に留学しました。フィンランドは初めてでしたが、「合わなかったら、2週間で戻ってくればいいや」と。自分でためた資金だったので、責任は自分にある。迷いはありませんでした。

 ログイン前の続きただ当初は今のように自由に生きられず、苦しい時期もありました。環境になじめなかったり、研究がうまくいかなかったり。そんな時にヒントになったのがヤンソンの生き方でした。

 芸術家の両親のもとに生まれたヤンソンは小さな頃からものづくりが大好きでした。児童文学作家だけでなく、画家、小説家、作詞家……など様々な職業を渡り歩きます。ムーミンの大ヒットで疲弊しながらも亡くなる直前まで創作を続けたそうです。70年以上にわたって創作活動を続けられたのは、「今の職業にしがみつく必要はない」という柔軟性があったからだと思います。

 森には、決まった「ゴール」がないんですよね。人それぞれ歩く目的が違う。人生もゴールばかりにとらわれる必要はなく、寄り道も悪くない。「自分の道を自由に歩き、幸せを見つけられればいい」。ヤンソンの人生とムーミンの世界はそんなふうに語りかけてくれているようです。

 私自身、合っていないと思ったら固定の場所にこだわらず、転々としてきました。音楽会社の起業、フリーの翻訳家ムーミンツアーの現地ガイド、取材コーディネーター……。むやみに投げ出したわけではなく、常に自分の幸せを考え続けた結果です。

 仕事を楽しめない、でもどうすればいいのか悩んでいる人、たくさんいると思います。たしかに何の保証もない中で、いきなり見知らぬ地に飛び出すのは勇気がいるかもしれない。だから、まずは身の回りから、自分の好きなものや居心地の良い場所を少しずつ増やしていけばいいんです。そして、周りの価値観に流されることなく、自分にとって何が大事なのか考え続ければ、きっと「これだ」と思えるものに出会えるはず。その直感を信じて一歩を踏み出し、自分の幸せを全うしてほしいですね。

朝日新聞より引用