朝日新聞の購読申込ページ 「松本薫「目標はママでも金」」紙面抜粋

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 朝日新聞の朝刊紙面より　「合宿で稽古、娘は託児所」

２０１２年ロンドン五輪の柔道女子５７キロ級金メダリスト、松本薫（３０）＝ベネシード＝が母になって畳に帰ってきた。昨年７月に第１子の女児出産を公表。「自分の夢も、子育ても諦めない。目標はママでも金」。２０２０年東京五輪で、再びの頂点を目指している。

　「娘です。かわいいでしょ、うふふ」。８日、東京・ナショナルトレーニングセンター（ＮＴＣ）で取材に応じた。これからの目標を書いてもらおうと報道陣から手渡された色紙に描いたのは、まな娘の似顔絵。その下に〈お母さん頑張る〉とペンを走らせた。

　銅メダルに終わった１６年リオデジャネイロ五輪後に休養。同時に、帝京大時代から交際していた料理人の男性と結婚した。１年以上のブランクも復帰にちゅうちょはなかった。「今年は出発の年」と決意を固め、６日からの日本代表合宿に出産後初めて参加した。稽古中はＮＴＣ内の託児所に娘を預け、競技と子育ての両立に取り組んでいる。

　「娘が風邪で１２月に３度も保育園を休んだ。練習ができなくて大変だった」と難しさもあるが、「両立は忍耐。娘はかわいくて仕方ないので」と話すとほおを緩めた。

　出産後１カ月で柔道着に袖に通してみたが、最初の稽古で大学生相手に「ぼこぼこに投げられた」。妊娠、出産で変わっていた呼吸の方法から見直し、筋力トレーニングを中心に一から体づくりに励んだ。

　畳の上の気迫あふれる表情から「野獣」のニックネームが定着している。「（今後も）野獣は野獣。もっと速い野獣になる」と話し、体幹強化などで動きのスピード向上を目指す。

　２０２０年東京五輪の金メダルが大きな目標だ。だが、畳に戻った理由はそれだけではなかった。「柔道のたすきをつないでいきたい。若い子が先輩に勝ってこそ自信になる。追いかけるものがあれば、もっと速く強くなれるから」。女子５７キロ級の第一人者として、「若い子には私に勝って東京の切符を取ってほしい。そうじゃなきゃ、私が代表になる」という思いがある。

　今後は８月の全日本実業個人選手権で実戦復帰し、１１月のグランドスラム大阪大会出場を目指す。

朝日新聞より引用